ラブカメ先生が引退されることになって、平日午後の人間ドックの結果判定と説明を希望する利用者への対応が回って来た。今月いっぱいは木曜は私が担当だ。今日は比較的担当数が少ないとはいえ1時間はたっぷり要した。
一通り終わって、ドック担当のもっと掘れNsや白田山Nsらとドックに来る利用者らの病気や健康に対する態度が話題になった。ていうか、私が来週の朝礼スピーチのこともあって話題にしたというのが本当のところだ。
午後に居残ってドックの結果説明を聞いてから帰宅する利用者らは、健康意識が高く、何を食べたらいいのか、内視鏡検査を次はいつ受けたらいいかなどの質問も多い。ただ、そうした人たちの検査結果を見るとたいていほとんど問題なしなんだ。逆に血糖や血圧が高く内服治療をした方がよさそうな人たちに限って「うーん」と口ごもり、次に出てくる言葉が「その薬は一生飲まないといけないんですか」なのよ。出たよ「一生薬」問題。これにうかつに「そうですねぇ」と言うものならほとんどの患者は「いやぁちょっとー。食事や運動で頑張るので薬は遠慮します」となりがちだ。で、結局翌年も同じ異常値のままずっと繰り返し・・ってなる。
患者にしてみれば「この私が一生薬を飲まないといけない体になっているなんて信じられない、信じたくない」って心境なんだろうな。そして「血圧や血糖が高いって言うけど、痛くもかゆくもないし全然症状はないんだから〜」っていう考えが透けてみえる。でも医者は治療を勧めてくるんで「食事と運動でどうにか対処します、できます、やりますとも」ってなるんだ。で、ちゃんと頑張って薬なしで病状改善出来る人はだいたい10人に1人くらいなものでだらだらと高血圧、糖尿病の状態を続けてしまう。やがて動脈硬化や血管の梗塞を起こしいろいろ障害が出てからはきちんと内服も守るようになるけどね。
前にも書いたような気がするが、私がよく患者らに説明するのが「薬で下げた血圧と食事(減塩)と運動で下げた血圧とどちらがいい結果になるか」という質問だ。答えは「どちらでも構わない。結果として血圧を低くした方が勝ちだ」というものだ。たいていの調査で血圧を低くした集団のほうがいい結果が出ているからだ。
内服薬については、毎日飲む面倒さ、薬代、受診、薬の副作用、止められなくなる不安などで「一生」つきまとうことが嫌なのだ。だからそういう患者さんには「いいえ、減塩や運動などで飲まずに下がってくればいつでも止められますよ」と説明し、内服を勧めるようにしている。血圧は低くあるべきだし、それも早くから下げていた方がいい。糖尿病はなおさらで高血糖が血管を傷めて脳や心臓の血管梗塞、腎障害など生活習慣病のラスボスって言ってもいいくらい悪さをする。食事や運動は無論大事。でもそれを確実に実行できない、また続けるのが難しいから内服の助けをどんどん借りればいいのよ。せっかく今は血圧も糖尿もコレステロールもいい薬が出てきて私が医師になった40年前とは隔世の感があるというのにー。
「降圧薬は絶対に飲むべきだ」というようなスタンスでは患者さんはなかなか同意はしない。まだ症状の出る前の未病の段階で将来の体を考え、指導していく「人間ドック」や「健診」時の説明は、説明を受けた人がその気になるように上手にやらねば、ネ。