今日は鹿児島で消化器系の地方学会が開かれていた。私は今回は参加しなかったが、本日内視鏡担当の非常勤オルドリバDrがスライド発表があるとのことで休みだった。そこで私が午前10時過ぎから外来業務を休止して内視鏡の手伝いに行った。多くは人間ドックの胃カメラで粛々と進んで行くも、12時過ぎに外科Drからちょっと面倒な依頼が来た。
「70代男性で入れ歯を呑み込んだんだそうです。レントゲンとCTを今撮っています。内視鏡での摘出が可能でしょうか」
部分入れ歯なら何回か取ったことはあるが・・レントゲンを見ると一応部分入れ歯だ。喉の奥から食道にかけて引っかかっているようだ。うーん。
こういう尖った部分のある異物は摘出する際に消化管の粘膜を裂傷させる危険性がある。食道には3ヶ所ほど狭くなる部位があり、喉と食道の境界部は特にそうだ。外科のDrがCTも指示していて少し待機の時間があり、その間文献など調べてみると、結構な確率で外科手術に回されて摘出というケースが多かった。しかしまあ見てみないことには始まらない。この患者さんは要介護4で認知もあるとのことだった。施設の職員が朝、入れ歯がないことに気づくも本人は「呑み込んでいない」と返事したそうだ。しかしどこにも入れ歯は見つからないので病院に連れてきた。結果は見事に呑み込んでいた。で、家族に「内視鏡で取れなければ手術も・・」と念のため釘を刺しておいた。あ・・ちょっと例えが悪い。念を押しておいた。摘出するために鉗子も把持鉗子と使うかもしくはトラペゾイド鉗子でからめて取るか、はてはゴム手袋をうまく使って覆うようにして取る方法は・・なんてことも内視鏡室スタッフは話していた。いろんな思いが交錯する中、内視鏡先端にフードを付けて挿入が開始となった。
「あれ?」
意外にも口腔から喉のちょっと奥すぐに入れ歯は見えた。これは把持鉗子でつかんで引けば簡単に取れそう。
なんと、内視鏡入れてから摘出完了までたったの1分半。まずはやってみなはれ。案ずるより産むが易しって。そう思って「入れ歯」よいってことだったわっ!
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