2021年6月23日水曜日

レベル300はなぜ来ない

水曜の午後は救急ピッチ当番だ。何にもない日もあれば忙しくなる日もある。今日はどうか?

「先生、救急隊から意識レベル300の高齢男性を搬送希望です」
「先生、救急隊から呼吸困難の女性を搬送希望です」

あん?2台ほぼ同時に救急要請ってか。どっちかは断りたい気もするがまずは詳細を聞いてみた。レベル300は「今は意識を取り戻しています。数分間意識がなかったそうです。数分で運べます」呼吸困難は「SpO2(酸素飽和度)は100%です」だと。

うん?これは意外と大したことないかもしれないゾ。というわけで2台とも受け入れた。先に高齢男性が来るのかと思いきや、一向に来ず、そのうち呼吸困難さんが運ばれて来た。診察した時点でほぼ過換気症候群だろうなと思ったが念のためレントゲン検査を指示した。それにしてもレベル300はなんでやって来ないんだ。ようやく運ばれて来たが、ぐったり感はあるものの意識はしっかりとしている高齢男性だった。バイタルも問題ない。この人もCTや採血、それに点滴を指示した。

詳細を尋ねるに、便意を催しそれがなかなか出ずにそのうち目の前が真っ暗になって意識を失った。ものの2分ほどで回復したのをそばにいた人が見ている。その時に救急要請された。で、大便をトイレで漏らしてしまってその後始末に時間がかかって搬送が大きく遅れたということのようだった。これは血管迷走神経反射と呼ばれる一過性の自律神経の不具合で失神を来すものだ。過労、脱水、長時間の立位、起立、空腹、排便、痛み、採血、恐怖など強いストレス下で起きやすい。特に高齢者は排便時に起きやすい。

結局、二人とも特に治療することもなく帰宅出来た。いやはや、小1時間バタバタとしたが、その後夕方までは平和だった。

17時半以降はオマルさんと碁を打って、今度は大模様からまた突入して来た相手の石を召し捕り、それでもねばるオマルさんに隙を与えず完勝した。2時間半もかかった。ところでだが、そのオマルさんに認知症テストの長谷川式をこの前やったら30点中なんと7点というロースコアが出たそうだ。かなりの重症認知症。だが、この結果には相当疑問が残る。だって碁を打っていて私にハンディを与えて勝ったり負けたりしているんだよ。相手の打つ手にどう対応するか、地はどっちが多いかなどの計算など複雑なことを考えつづけないと碁は勝てない。認知症の人には2時間以上も碁は打てないよ。オマルさんはやや耳が遠く、囲碁以外には余り興味がない人だ。「今日の日付は?」とか「100から7引いたらいくつになりますか?」などは答えてもいなかった。面倒くさかったんだろうね。ともかくもオマルさんに関しては長谷川式の結果はまるで信用できない、これだけは確かだわ。

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