(ちょうど1週間前に1日だけアップしていた日記を再掲します。今度は動画も出します。逆転トライ出来るかもとTV画面を直に撮影しています。トライが決まった後、「勝ったー、信じれん」発言がやや遅れ気味なのは本当にトライが認められたのかちょっぴり心配していたからで、にわか喜びはしたくないという心理からです)
9月20日の未明、1週間遅れのこてる日記を書きながらラグビーワールドカップ(RWC)の日本対南アメリカを見ていた。今大会はかなりやりそうとは事前の情報で知っていた。この前はNHKBSでワールドカップ展望の番組も見ていた。ラグビーは番狂わせが少ないスポーツだ。しかも実力差が少しでもあると大差がつきやすい。果たして今回の日本はどうか。最初の10分でおおよそ見当がつくと思って見ていると、なんとペナルティキックで3−0と先制した。会場のイングランドの観客は日本びいきの応援ですかさず歓声があがった。この後、南アにすぐに逆転されるけどワントライ7点差(5+2=7)以上には引き離されない。前半は10−12で終えた。ほう、これはすごい。ラグビーを知らない人からすればそれがどうしたのくらいだろうが、相手はワールドカップ優勝2回を誇る世界ランク3位の超強豪だ。事前番組でも「南アは頭一つ抜けていますからその後の試合を如何に勝つか・・」などと解説者は語っていたくらいだ。サッカーでいえばアルゼンチンに前半1−1くらいで終えたようなものなんである。
さて後半キッカー五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)のPG(ペナルティーゴール)3点で13−12と逆転、しかしまたトライを奪われ再逆転される。見ていればスクラム合戦では負けていない。バックスもタックルがいい。タックルミスがありそこはすかさず得点されたがハンドリングミスも少なくとにかく食らいついて点差が離れない。終盤、きれいなトライが決まりその後の難しいコンバージョンゴールを五郎丸が決め29−29の同点に持ち込んだ。
(↑五郎丸のあの指を組むルーティンはこれからみんな物真似することだろう。そして「ルーティン」は今年の流行語大賞も十分に狙えるゾ。)
もうこの辺でひょっとしたら勝てるのではと期待が膨らんだ。南アにPG決められ29−32とされたがこのあと日本が攻勢、そして残り時間2分でついにゴール近くで相手反則を呼び込んだ。PGを狙えば間違いなく32−32の同点になり同点で試合を終えられるこの場面、何と日本はスクラムを選択した。あくまで勝ちにこだわるのか。うわー。
ずっと昔、同じような場面で明治大学はPGを選び同点で試合を終えた。しかし北島忠治監督は「あそこはスクラムだ」と叱ったという。負ける危険性よりも勝ちへのチャレンジを選べということだ。今回は初戦で5国リーグゆえ引き分けの勝ち点2は望外の結果のはずだ。負ければ7点差以内負けでかろうじて勝ち点1はもらえる。ううむ勝利の美学に酔う場合かぁ?すでにいわゆるロスタイムで攻撃が相手に遮断されれば即ゲームエンド、大健闘でも負けである。ハラハラしながら最後になるかも知れないスクラムを見る。もしかしての逆転を期待しつつデジカメを動画にして構えた。
密集場面でも日本はミスやファールをしない。これはやるかも。スクラムからうまく左に展開しパスがつながった。あー!最後左隅に見事なトライ!うわー!勝った、勝っちまったよー!すごい、すごいぞ。NHKのアナウンサーは泣いている。解説者の方が冷静だ。五郎丸の最後のコンバージョンは外れたが結果には無関係、誰も何も言わない。いやー、この試合、生観戦していて良かった。20年前のワールドカップで控え主体のニュージーランドに145ー17という大敗(未だにW杯最大点差記録)を喫しタクシーの運ちゃんにも笑われたというあの日本の無様な姿はもうなかった。
こんな素晴らしい結果なのにYahooのトピックスには速報が出ていない。スポーツ欄も「ラグビーブーム再来はあるか」なんてのんきな見出しがあるだけ。ただ日刊スポーツはきちんと速報とスコア詳報が出ていた。これがサッカーだったらやんやの大騒ぎだったろうに。10分ほどしてYahooも「ラグビーW杯日本が大金星」とようやく見出しがおどったがちょいとしらけたナ。それにしてもよくやった。「世界を驚かす」といっていた抱負が早くも実現した。目標のリーグ突破しベスト8はいけると思うが油断せずあとの試合を戦って欲しい。うしっ!
夜が明けて日刊スポーツには現地イングランドの反応が紹介されていた。以下日本代表が成し遂げた偉業(といってもいいのではないか)をかみしめて読んでみよう。
「日本が過去2度の優勝を誇る南アフリカに逆転勝ちし、英メディアは「W杯史上最大の衝撃」と異例の大きな扱いで報じた。テレビ中継した英放送局ITVの解説者は試合中に「信じられない」と連発。次の試合の中継が始まった後も日本の試合を振り返った。世界中で大ヒットした小説「ハリー・ポッター」の作者J・K・ローリングさんからも驚きの声が。ツイッターに「こんな話は書けない」と記した。ガーディアン紙は「W杯史上、比類のない試合。世界に波紋を広げた」と報道。デーリー・テレグラフ紙は電子版のトップで「史上最大の番狂わせ」と伝えた。BBC放送もニュースで繰り返し試合の模様を放送し、ラグビー発祥の地である英国に与えた衝撃の大きさをうかがわせた。」
その日の午後は見せたまえ雀荘で麻雀だったが、会っていきなり見せたまえDrとラグビーW杯の対南ア勝利の話題で盛り上がった。彼はスポーツ観戦が趣味だからきっと生で見ているはずと思っていたとおりだった。逆転トライの瞬間、泣いたという。きっとそんな日本人がいっぱいいたはずだ。1週間たってもこの快挙は色あせないわー。